人件費

「人件費」の節減は根源的なコストダウンです。
物の値段は「人の手間」(正確には労働によって生み出される付加価値)の集積に他ならないからです。

従業員を一人でも雇えば、それは必ず商品価格を押し上げます。
タダで働く従業員がいない限り、この摂理からは絶対に逃れられません。

この「分かり切ったこと」を分かって下さい。
御自分の属する分野に置き換えて考えれば、
「この世に人件費を打ち消す魔法はない」ことに首肯して頂けると思います。

採算を確かめるには、小学校の算数で充分です。
(以下の数行はスキップしたかったのですが、過去にこの類の説明を省略をしたために誤解を受けたことがあるので、敢えて、、。)

月給が三十万円の従業員を新規採用するとして、
このコスト増を賄うには、
三十万の売り上げ増では足りません。
三十万の粗利益増でも足りません。
三十万の純益増で、ようやくボランティアモードとのボーダーです。

ついでに、小学校の社会科を持ち出せば、
ワークシェアリングの環境を提供するつもりがない限り、収益増に結びつかない新規雇用にメリットはありません。

この不景気下に「贅肉仕様の付加価値」は一昨日おいでですし、、必需品ならぬ花き販売の粗利率増は今時不可能です。

ならばと「薄利多売」で人件費を稼ぎ出そうにも、極めて巨大な障壁があります。それは、、

花屋は「あるキリの良い金額」を一日に売り上げると仲間内で大きな顔が出来ます。
(この金額は情けないことに、三十年前から変わっていません。)
池袋地下のショッピングモールに出店していた「花?」さんの日商は「キリの良い金額」の一倍半。これは同ショッピングモール内で断トツのビリ。売り上げ天引きの揚がりが少ないと、いつもディベロッパーから突き上げを喰っていたそうです。

上位と目される花屋さんにしてこの有様です。
花屋は途轍もなく売り上げの上がらない商売なのです。

当家が元の家業の食品界から(父の健康上の理由で)離れたのは四十年前ですが、当時でも、「パパ+ママ+二、三人の従業員」といった零細な規模で、日に「あるキリの良い金額」の3、4倍を売り上げる食料品店が掃いて捨てるほどありました。
これだけの売り上げがあれば、一人分や二人分の人件費増に対処するのは、それほど難しいことではありません。数パーセント売り上げを伸ばせば事足ります。

花屋は違います。何割も伸ばさなければなりません。

粗利率が違うと仰る方がいるかもしれませんが、、
「食品の三、四倍の粗利率で、ようやく同等」に気付いて下さい。
半世紀以上前でも「花八層倍」は非現実的な例えでした。デフレスパイラルが常態化した昨今、こんな無茶なマージンを取れるわけがありません。

大規模店なら、「あるキリの良い金額の五倍くらい」は売るだろうと仰る方もいるかもしれません。
それは事実です。しかし、従業員数を確かめて下さい。どの大規模店も「すごい人数」いるはずです。 花屋が効率の悪い手間仕事だからです。
「多売で人件費を稼ぎ出そうとすると、更に多くの従業員が必要になる」
この追いかけっこは「アキレスと亀」の立場が逆転しているので、差は開くばかりです。
ホームセンターや大きなスーパーマーケットの生花園芸部ならば、他の部門の揚がりで穴埋めも利きますが、専門店ではそれも適いません。
これは噂ですが、、某花き小売業者が高速道の道路計画に引っかかった広大な地所をお上に売って莫大なお金を手にしました。それを資金として、かねてから憧れていた量販店チェーンを首都圏に数店舗展開しましたが、開業から僅か5年ほどの去年、全て閉鎖したそうです。お金を使い果たしたのだろうとのことです。、あくまで、噂ですが、、

最後に、四十年前に日商3、4十万円(あ!マズイ!具体的な数字を明かしてしまった)の食料品店が「パパ+ママ+二、三人の従業員」であったことを重ねて書いておきます。

相場はプール計算

個々人の購買量が相場に与える影響は、その場にいる全ての売参人に対して公平です。
大量購入者に有利なわけでもなく、少量購入者に不利でもありません。

これを端的に証する次のようなケースを我々は競り場で頻繁に経験します。

一つの競売ロットを纏めて一人で買ってしまうことを「まわし」といいます。
概ね、軟調相場のとき「値切る代わりに大量購入のリスクを負う」といった折り合いで取引が成立します。

一見、大量買いで安く購入出来たようですが、
「まわし」で買うような大手が、その時の競り場に居なかったらどうなるかを考えて下さい。
つまり、大きな需要が不在だった場合を想像して下さい。
落札値は、更に下がると思われます。
そして、その安値の落札品を何人かの売参人が少量ずつ分け合うことになるでしょう。
少ししか買わないのに安く済むことに注目して下さい。

「大量仕入れでコスト安」、この迷信は何故まかり通るのでしょう。
それは、上記の状況を例に取れば「大手不在」のケースをシミュレーションする想像力の欠如ゆえです。
この場合の想像とは、以下のようなことです、、
大量に購入したために、的中馬券の払い戻しが少なくなってしまうことを「配当を喰う」といいますね。
受給の立場は逆ですが、働く理屈はこれと同じです。

大量購入者も少量購入者も等しく、相場を凌ぐ値を入札しないと買えない。
両者の違いは、抱えている「値上がりトレンド要因」(必要量)の大きさ、則ち、
「自分で値を上げる」か「他人が値を上げる」か、だけです。

ただ、、看過できない事実があります。⇒
誰しも「自分の居ない競り場」に存在することは出来ません、⇒つまり↓
「大量購入者」は「少量購入者」と異なり、相場をアップトレンドに大きく誘引する売参人(=自分自身)と常に一緒なので「極めつきの買い手市場」には出くわし得ないのです。

気付いて頂けたでしょうか?
同じ事を何遍も視点を変えて説明してきたのは何故かを?
「あれ?!大量に買うと安く済むんじゃなかったっけ」と、
そうです、公平どころか、実は、「大量に買うと逆に高くなる」のです。

この単純な理屈を解っていない人が業者の中にも希にいます。

あれ!?また「書いてはいけない本当のこと」を書いてしまったかな?
私の悪い癖

私の悪い癖は、ここでも見られます。
気が向いたときに加筆して行きますので、興味のある方はチェックして下さい。

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